■いわゆる「赤本」を知っているか。 一部では「赤本」という名で親しまれている(?)バドミントンのルールブック、これに触れたことがある人はどれくらいいるだろうか。審判免許3級あたりを取得しているならほぼ問題無いと思われるが、「審判したくないから免許取らない」「お金がかかるのが嫌」との理由で免許を持っていないと、この本の存在自体をよく知らない人もいるだろう。 ルールを知るということは、むしろ絶対条件であるはずだ。車の運転には免許が必要だが、本当に必要なのは免許ではなく運転する上での技術と知識であり、それさえあれば運転は可能(もちろん交通法規的には不可能w)である。 |
■その知識の重要性 確かにバドミントンはラケットと羽根さえあればどこでも楽しめるかもしれないが、これが大会といなれば話は別である。楽しむ為にバドミントンをするのは大いに結構、だが、たとえそれで自分が楽しめたとしても、ルールの枠内でプレーしていないとすれば、それは対戦相手や大会本部に迷惑をかけることだってある。 勝ってこそ面白い、勝つ為に練習をしているという人もいるだろう。技術さえ磨けば大会では勝てるかもしれないが、果たして、本当にそれはルールを侵していないのだろうか、逆に、負けた試合の中に、相手のルール違反を気がつかずに見逃している可能性だってある。それほどまでに浸透していない細かいルールがバドミントンにはあるのだ。 |
■意外と理解されていないルール 下記に、チェックポイントとして数点挙げる。 1.サービスでの、通称「アバブザハンド」をはっきりと理解している 2.サービスが開始と判断される定義を理解している 3.サービスでの、通称「アバブザウエスト」のラインの定義がわかる 4.シングルス、ダブルスでのサービス位置を間違ったときの対処が理解できている 5.いわゆる「ダブルタッチ」とならないスイングが理解できている 6.インターバル(1、2ゲーム間、ファイナルゲーム前)の時間とその間行っていい行動がわかる 7.誤審された時の選手として行っていい行動を知っている これらは、普段ゲームを進める上で支障の無い事かもしれない。だからといって知らないでゲームをすると、激しく不利を受ける可能性があるものばかりである。 |
■詳細。 1〜4はサービスでのルール。特に1〜3は、知らないと自分がルール違反をしている可能性があるだけでなく、対戦相手のルール違反を許す事になる。ルールの中でサービスを行うのはあたりまえのことであり、それを黙認するほど損な事は無い。 5は、よく大会である光景に「今2回打ったでしょ」との抗議に、審判が「フォルト」と判断するケースがある。一人が2回打ったらそれはフォルトとなるが、2回打ったとされる定義を知らずにそれを裁くのは到底無理である。ルールには1スイングならば2度打ちとならないとはっきり記してある事を知っている人がどれだけいることか。 さらに上記に「抗議」と書いたが、抗議自体バドミントンにおいては認められていない。いくら誤審があったとしても、できるのは「質問」であり「抗議」であってはならない。 そして6においては、特に学生の大会等では知っておかなければならない。1,2ゲーム間ではコート付近を離れてはいけないことになっているが、ファイナル前には可能となる。 |
■ルールにより勝敗を大きく分けた例 4について、実際にあった例をあげる。 ダブルスファイナルゲームの14-13。14がセカンドサービス。そのサービスを行うときに場所を逆に行ってしまった。審判も気が付かなかったが、13の方は気がついていた。だが、そのままプレイ。そのラリーは14がとり、ゲームセット。喜ぶダブルスを横目に13が審判へ質問。 「今、サービスの位置間違ってませんでしたか?」 この質問が認められる事となる。どうなるのかといえば、サービスを間違えた方がラリーに勝った場合、そのラリーはレット(ノーカウント)となる。つまり、もう一度14-13のセカンドサービスを行わなければならない。 勝ったはずのペアと、予定通りのペア。勢いは歴然である。セティングになり、ポイントを取らせずに逆転勝ちをおさめた。 |
■まずは知るべし プレイヤーとしては、ルールは知っておかなければならないものである。理解し、何がいけないのか、何がいいのかを知らなければ、バドミントンの本質には迫れないのではないだろうか。 ルールによって拾える勝利もあれば、正々堂々プレーする喜びもある。上記の例以外にもたくさんの知られていないルールがあるが、それらが知られていない事は大きな問題としなければならないのではないだろうか。 |